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「言いたいことが山ほどある」元名物委員、エネルギー政策への注文:朝日新聞
https://digital.asahi.com/articles/ASSCP351MSCPUSPT00GM.html?ptoken=01JMGP6DK3MHG30SKFB14D19Y7
「無理です。その計画をまとめた時も、非現実的だと考え、私ひとり反対しました。原発は東北電力女川2号機を含め13基が再稼働しました。ただ、計画の実現には、原子力規制委員会が再稼働を不許可とした日本原子力発電敦賀2号機や、審査中の10基を含めた27基が、設備利用率80%で稼働することが前提です。どう甘く見ても30年で20基前後、設備利用率70%がせいぜいです。原発が好きか嫌いかどうかではなく、頼りにならないというのが実態です」
「ただ、再エネも30%ほどにとどまるでしょう。原因は、パリ協定前の15年に決めた電源構成を、18年に見直した際に、再エネを22~24%と低くすえ置いたからです。この時は再エネの『主力化』を掲げておきながら、数値を引き上げなかった。もっと早くに高い目標に変えていれば、洋上風力を含め再エネは拡大していたことでしょう。原発の比率は高すぎて、再エネの比率は低すぎる。いま直面している課題の主な原因は、ここにあります」
「政府側は、再エネ45%~50%、原発25~30%、水素・アンモニア5%、天然ガス20%、これに近い数字を出してくるでしょう。最も現実離れしているのが原発で、『野心的』という言葉を超え、もはや『空想的』です」
「支援制度ができたとしても、そう簡単には進まないでしょう。建て替えの可能性が一番高いのは関西電力美浜4号機ですが、1兆円程度はかかります。一方、既設炉の運転延長であれば1基あたり数百億円でできる。2桁違うわけです。関電が本当にやりたいと思うでしょうか。欧州各地でも遅れに遅れており、様々な支援制度がある英国でさえ、日立製作所が撤退したように、コスト高に難儀しています」
「政府はGX(グリーン・トランスフォーメーション)を旗印に原発の建設を掲げましたが、『やるやる詐欺』と言っていい。150兆円の投資の見取り図のうち、原発は1兆円にすぎません。本来は、原発を副次電源に位置づけて、古い炉を新しい炉に建て替えつつ依存度を下げていくべきですが、危険性の縮小と逆行する筋の悪い運転延長が幅を利かし、最悪のシナリオが進行しています」
「普及の加速度を上げる必要があります。海外に行って、再エネをなぜやっているのかと聞くと、『安いから』と一言。『脱炭素のため』なんてわざわざ言いません。世界のまともな国で再エネが高い、と思っているのは日本だけで、ガラパゴス状態です。洋上風力発電事業者に送電線を誰が引くのかと聞いても、『安い電源があったら電力会社か他の事業者が引くのが当たり前』だと馬鹿にされました」
「意見が違う人を、つぶすようなことがあってはなりません。原発推進でよく『国民の理解促進』という言葉が出てきますが、ずいぶんと上から目線で、国民をバカにした言い方です。国民は福島の事故の経験や避難の実効性、高レベル放射性廃棄物など様々な問題を分かっています。エネルギー政策には多様な意見があるのだから、それを反映して議論しなければならないのです。経産省は圧倒的多数が原発推進派である委員構成を直ちに見直すべきです」
利益相反
これ日本語世界に存在しない概念