『シムーン』がYTで無料配信されているとのこと。: https://www.youtube.com/watch?v=yvoJJ3RXR8Q
2006年のアニメだが、トップクラスに印象深い作品。「作中世界の人類はすべて女性として生まれ、一定の年齢で性別を選択する」という設定も刺激的だが、主役少女たちのデリケートな関係描写や、宗教国家の神具(飛行機)を対外戦争に使うことに関する議論など、複雑な社会性表現も見応えがある。
音楽的にも、モーツァルトなどを連想させる折り目正しいシンフォニックサウンドが悲劇的な情緒を示唆しつつ、タンゴ調の躍動感ある劇伴も用いられていて、不思議な雰囲気に彩られている。
『シムーン』は円盤も持っているけど、重たい作品なので、なかなか再視聴できずにいる。
シムーンは、「光の航跡で、空に模様を描く」ことにより、それぞれ特定の超自然的な作用が発動する(例えば、敵機を攻撃するビームが降り注いだりする)。視覚的表現としても、戦争アニメらしからぬ幻想的な演出だし、物語的には悲愴な美しさ、アルカイックな神秘性、そして可憐な脆さを印象づけることにも繋がっている。
「シムーンは神の乗機なんかじゃない。ただの機械だ」。精神的価値を巡る争いでもある。
主人公たちが属する「宮国」の風景はカラフルで豊かに描かれているが、敵対国の空は工場の煤煙まみれで暗く汚れている。しかし、工場で簡素な有人機を大量生産することにより、シムーンの超自然的的(宗教的)な力をも打ち破ろうとしている。見返してみると対比はあからさまだが、瞑想的で内省的なモノローグの連なりがそこに劇的な説得力を与えている。