『serial experiments lain』は、アニメ版(DVD-BOX)を視聴しただけですが、面白い作品でした。
フィクションにおけるデジタル技術とそこで展開されるイマジネーションは、80年代から90年代前半のうちは基本的に(近)未来の出来事として扱われていましたが、90年代後半になると同時代の現実として描かれるようになってきたという印象です。この『lain』しかり、あるいはミステリであれば『すべてがFになる』あたりも。
(つづき:)有名な『攻殻』(漫画版:1989~1991年頃)も、作中年代は2020年代末頃という設定だそうです。あれほど先進的な作品でも、高度デジタル通信技術が日常化した状況を描く際には、あくまで近未来のものとしていたんですね。海外でも、『Matrix』(1999-)は、いまだ近未来SFの枠内にあった。
それが『lain』(1998年制作)では、90年代末の――アングラ寄りとはいえ――同時代として描かれるようになり、しかもそこに、実質的なイメージを追加できるほどの強度を持つようになった。大きな変化だと思います。