坂上暁仁『神田ごくら町職人ばなし(1)』について(つづき)。
さらに大ゴマ(画像1枚目:52頁)では、多人数を配置した迫力のある絵が、堂々と提示される。これだけでもじっくり眺めて見飽きない。さらには、大胆な表現性に満ちた構図が採用されるコマもある(画像2枚目:10頁)。陰影表現も絶妙だ。
江戸時代の職人という題材のユニークさ。それらを描ききっている作画と取材の緻密さ。それらを最大限に引き出すレイアウト演出の美術的技巧。それらによって展開される登場人物たちのプロフェッショナリズムの劇的な緊張感。そしてそれらを敢行している作者の思い切り。漫画表現のポテンシャルと凄味を感じさせる、素晴らしい作品だ。
なお、本作は現在もオンライン連載中とのことで[ https://to-ti.in/story/gokuracho_08 ]、単発のドキュメンタリー的作品も[ https://to-ti.in/story/kanazawa01 ]公開されている。
ちなみに単行本は9月発売で、ここのLTLでも、すでに言及されていた方がいらっしゃいました。さすがだ……。
https://social.vivaldi.net/@sasakei31/111192630833888764 (表紙写真あり)